| 観劇日 | 2005年6月28日ソワレ |
|---|---|
| 脚本(Book by) | Mel Brooks/Thomas Meehan |
| 音楽(Music by) | Mel Brooks |
| 歌詞(Lyrics by) | Mel Brooks |
| 振付(Choreography by) | Susan Stroman |
| 演出(Directed by) | Susan Stroman |
| 出演(Starring) | Richard Kind/Roger Bart |
| (Also Starring) | Brooks Ashmanskas/John TreacyEgan Jonathan Freeman/ Angie Schworer |
感想・劇評
最近、新しいミュージカルがたくさん現出してきたとはいえ
ブロードウェイでの「プロデューサーズ」の人気は非常に高い。
ブロードウェイのなかでは豪華賢覧なミュージカルは減ってきたといわれる
社会的な問題をしっかりとらえたり家族で楽しめるミュージカルが
しっかり観客を集めている中で
大人のエンターティメントだけでは集客が難しくなってきているのかもしれない
そのなかで「プロデューサーズ」は貴重な存在ともいえる
まあ、「42nd Street」や「La Cage au Folle」などの絢爛さにも
一時期目の肥えた観客はうんざりだったという話もあるし
ディズニー系のミュージカルがいっぱいあるなかで
家族連れが「詐欺師のプロデューサー」と
「小さい頃の毛布を離せない会計士」の話を選ぶのは
とても難しいという話もあったみたいだが・・
しかし実際に観るとこの作品はそれらの事情を
すべて超越してお楽しみがしっかりと凝縮されていた
観客が劇場に足を運ぶわけである
まず、物語設定や展開のものすごさ
舞台に劇場の入り口を作って
さらには座席案内のLadyたちに
この舞台が当たるかこけるか・・・、みたいなことを平気で歌わせる
で、出てきた観客にいかにその舞台がひどいかを歌わせる
まあ、笑える歌ではあるのだが、ブロードウェイの風刺にも通じる歌にもかかわらず
一流の出演者たちにかかると、わくわくするような
ときめきと切れに満ち溢れたシーンに変わってしまう
彼らの動きすべてが小気味良く、物語の進展を期待させるのだ
その後失意に沈んだプロデューサーのもとに会計士がやってきて
一夜でクローズになった舞台の、会計上の2000ドルの差額を、
(やけになったプロデューサーが女を買って使ってしまった)
ごまかしながら失敗作の方が利益がでるブロードウェイの興業の仕組みを
不思議がるところから、逆にプロデューサーは
最低の失敗作を作れば大もうけになるかもしれないと思いつく
そこに至るまでにプロデューサーが老女をたらしこんで
お金をかせいでいることなどが演じられ
その顛末はテンポのよいプレイ仕立てでかたられていくのだが
そのとき彼がそとにむかって悪態をつくシーンが
きちんと二つか三つ先の伏線となっていたりして
実は繊細に伏線がそのなかに織り込まれていく
それは次に繋がるとはとてもおもえないような台詞であり
つながりが見えたときその意外さに会場が受けること・・・
会計士は実はブロードウェイのプロデューサーになるのが夢で
そのために彼の企みに加担することになる
その決断の場面が最初の見せ場で
会計士の事務所からそのような妄想シーンが生まれることの
皮肉さに観客は女性達の動きに魅了されながらも
爆笑することになる
そして、さがしあてた
絶対失敗作となること間違いなしの「ヒットラーの春」という台本を
最悪の出来で舞台化するための彼らの努力が始まる
原作者との交渉の部分もしっかりした歌と踊りの見せ場になっているし
(鳩の動きにはおもわず微笑がこぼれた)
演出家と様々なスタッフもゲイにほとんどちかいような人ばかり
さらにオーディションといい加減差のなかにしっかりした芸が織り込まれて
観るものを決して飽きさせることがない
オーディションにやってきた超美人女性のシーンはお色気たっぷり、
そして、トニー賞の授賞式でも演じられた歩行器をつかった
老女達のシーンの巧みさ
年老いてもしたいのはセックスだという露骨でぎりぎりの歌だが
そのあたり、真実をついているところで大きな笑いを誘い出す
休憩の後も見せ場がてんこ盛りである
オフィスにもどれば部屋がきれいになっていて
秘書兼女優にいつやったんだと聴けば
「休憩の間よ」というくすぐりを平気でやってのける
その手のルール違反すれすれのくすぐりの多いこと
さらにはオープニングに「グットラック」というのは演劇がわるいということから
「グットラック」を繰り返す主人公の二人を尻目に
はしごの下をくぐる羽目になるは鏡は割れるは
主演の男優(兼原作者)は足をおるという縁起の良さ、
で、作品はといえば、なるほど当たっちゃうなとちゃんと思わせる
すごい出来の劇中ショーが現出する
おかまのヒットラーに、
豪華絢爛な衣装の女性達(ビールやプレッツエル、ソーセージを頭につけてはいるが)
そりゃドリフの最盛期のころを髣髴とさせるようなところはあるが
はちゃめちゃで、常識はずれで、なおかつ非常にクオリティの高いパフォーマンスにささえられた
ときめくようなショーがあるからこそ
このミュージカルは成り立ったともいえる
このシーンを観てメルブルックスの底力を見た想いがした
結果としてショーは大当たりし、大立ち回りのあと
プロデューサーは逮捕される
そして獄中で共犯者の会計士が美しい秘書兼女優と結婚してブラジルにいることを知る
獄中でそのことを知ったプロデューサーの歌がまたすごい
なぜこんなことになったのだろうと自問し、会計士の裏切りを怒り
自分の少年時代を取り違えるぐすぐりのあと
物語の最初からここまでをダイジェストで演じて見せるのだ
しかも休憩の部分も忘れずに入れて・・・
結局会計士は彼を本当に認めてくれた唯一の人としてプロデューサーを思い
フラジルから戻り、裁判所に出頭し
二人はあぶなっかしいながらも互いの信頼を取り戻して
ともに懲役5年の刑に服役する
どんなミュージカルにも必ず含まれる泣かせ場を決してはずさない
どんなはちゃめちゃをやっても土台はしっかりくずさない
ひとつ間違えばというところでも押さえるところをきっちり押さえれば
それこそが大傑作といわれるようになる
メル・ブルックスの才能の一端をふたたび見た想いがした
お話の最後は服役囚達にミュージカルを指導したことが評価され、特赦
さらにはそのときの体験をもとにした「囚人の恋が」
大当たりとなり
名作?(これまでの名作のパロディー)を数々作り出していきましたと
これも観客を満たすようなちょっとお気楽なハッピーエンド。
もうおなか一杯になるまで観客を手段をえらばず満足させ
最後の打ち出しの歌まで用意してくれる。
(この歌も結構すごい歌詞で受けていた)
劇場から出るとあきらかにハイになって楽しかったと心躍らされている自分がいて
エンターティメントとはこのようなものかということを
思い知らされることになった
まあ、言い換えればこれまでのブロードウェイの作品たちが
お客様に劇場へ足を運ばせるための一番大切な条件はなにかを
メルブルックスはきちんと見ていただけだともいえるのだが・・・
まあ、品の良し悪しについてはいろいろと考える向きもあるのかもしれないが
すくなくともこれだけ観客を楽しませる作品が現れるのは
何年後かわからないし・・・
それまではこの作品がブロードウェイで生き続けるのだと思う
もちろんモンティパイソンはこの作品を超えたのだろうかという懸念を
忘れたわけではないのだが・・・・・・
ところで、この作品、ワールドツアーが日本に来ていて
そちらも観ることができた
結論から言うと一定のレベルはきちんと保っていたと思う
Ulla役の女性とヒトラーの春の原作者役については
むしろブロードウェイより日本で見たほうがよかったかもしれない
二人とも歌唱力には目を見張るものがあった
ただ、踊りやコーラスのアンサンブルになると
やはりブロードウェイで見たものの方が2段階ぐらい上のような気がする
ワールドツアーのキャストの中にも
びっくりするくらい切れがあるステップを踏む人が何人かいるのだが
全体のレベルがもうひとつそろわない印象で
群舞のときなどに切れを削いでいる場面が何度かあった
もちろんレベル的に低いわけではないし
逆にブロードウェイの作品がいかにすごいかということでも
あるのだが・・
あと気づいたこととして、翻訳が舞台の端にでるのはよいのだが
タイミングの関係で台詞を言う前に笑いがくることがあり
(おちが最後にある文章でも文法の関係で日本語だとおちが最初ということもあるし・・)
役者は結構やりにくいところがあったのではないか?
訳も結構苦労をしているみたいで
スポンサーの関係でリステリンをスポンサーの商品名に訳し変えているのはご愛嬌としても
ゲイ(派手なとか華があるとかいう意味)の訳とかには
かなり苦労をしていたことがうかがえる
そうそう、クライスラービルの冠って日本ではあんまり受けていなかったし
はしごの下を通るとか鏡がわれるとかいうことが
不吉という文化も日本ではなかなか理解されなかったかもしれない
訳等に不自然さはなく出来は決して悪くなかったが
たとえこれだけの作品であっても
根本的な文化の違いを克服するのはけっこう難しいことなのだと思う
まあ、最後は場内スタンディングオベーションであり
帰り道の幸せ感はブロードウェイの時と変わらなかったし
多少値段は張るにしても観に行く価値は疑うべくもないと思う
The Producers@St.James Theater (Broadway)

| 観劇日 | 2005年7月17日ソワレ |
|---|---|
| 出演(Starring) | Bob Amaral/Andy Taylor |
| (Also Starring) | Rich Affannato/Ida Leigh Curtis Stuart Marland/Bill Norte |
The Producers@東京厚生会館(新宿)
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