| 演目 | 劇団・プロデュース | 場所 | 日時 |
| 痛くなるまで目に入れろ | G2プロデュース | 紀伊国屋ホール | 2004年9月11日ソワレ |
作・演出 G2
出演
山内圭哉・中山祐一朗・曽世海児・久保田浩
岩橋道子・渡辺慎一郎・松下好・久ヶ沢徹
坂田聡・シルビア グラフ・陰山泰
声の出演=神野美紀
劇評
G2プロデュースの作品に一般的なエンターティメントだけを求めるのなら
今回の作品はすこしあくが強すぎるような感じもする
たとえば、「止まれない12人」のような
強引でありながら人を一人も殺さないような筋の通り方が
今回の作品では陰を潜めてしまい
しっかり辻褄を合わせるための小さなほころびを
ひたすらナイフのきらめきと銃声によって埋め合せているようにも思える
それだけに
辻褄を合わせるための芝居に個のクオリティに加えて
出演者全員が一糸乱れずで動くみたいな小技が生きず
舞台全体にある種の粗雑感が漂うことが何回かあったのも事実である
それでも、この作品を秀作だとおもうのは
エンターティメントのための統一感や抜けるような強引さはなくても
父と子の関係性というしっかりした柱をしっかりと掘り起こして
観客をそこに回帰させるような見事な仕組みを作り上げているから・・・・
父親のたくらみにたいする強引とも思える筋の通し方こそがこの舞台の肝であるが
肝の見せ方にしっかりしたこだわりがあって
観客をとりこむことに成功しているのだ
ひとつ間違えば滑稽さとまがまがしさが
デフォルメされた形で表現されるだけで
ある種の嘲笑を呼ぶような構成である
だから、すかっと駆け抜けるような物語にはなりえないのだが
G2は今までにないような暴力的なシーンやトリッキーなストーリー展開を多用して
父親のたくらみがこっけいなほどに奇異であればあるほど
父親の息子に対する愛情の深さが表現されていくような仕組みを作り上げる
まるで、今までのG2作品が持つ繊細さの反動のように
暴力的なシーンで物語のモチーフにかぶせられたものを
剥がしていく・・・
その緊張感に観客は見せられていくのだ
山内圭哉には舞台上の誰をも凌駕する粗暴な雰囲気を作り出す才能があり
同時に弱さをしっかりと見せる演技もできる
今回のG2の脚本にのった山内の演技にはある種の伸びやかさがあって
観客を舞台に引き込んでいく
中山祐一朗は山内のシャドーのような役回りであるが
かれの演技は舞台にもしっかりと陰影をつける
G2の舞台では彼のようになにげに舞台を支える役者が
本当に仕事をしていると思う
執事役の久保田などその際たるもので
彼の演技があるから奇異なものが奇異なものとしてそこに存在できるよな気がする
渡辺・曽海・久ケ沢といったところも役割を十分にはたしていた
ただ曽海の役にはもうすこしあくのような物があっても良いかとは思うが・・・
坂田の親分もしっかりした貫禄があって及第点、ただ粘度のようなものがもうすこしあれば
ストーリーにさらにメリハリがついた気がする
女優人ではシルビアグラフの演技に惹かれた
度量のようなものを表現しなければならない役柄であり
本物っぽくなければならないはずの役柄において
ボイスレコーダーを片手に
役をささえたきった演技力が光る
岩橋道子の演技にはきちんとずるさとあやうさのようものが漂っていた
松下好の「まともさ」も舞台で十分に機能していたように思う
今回一番すごいなとおもったのは陰山泰でやはり只者ではない
父親として考えられないような無茶をしても
その無茶を観客にさもありなんと納得させるような
オーラが彼にはある
もちろんそのオーラを出させしめるために
芸達者の役者達が手練手管で演技をしたという側面もあるのだろうが・・・
G2の作品を見るときには彼の無茶を楽しむような部分があるのだが
今回は時間をいじって父親の無茶を立体的に、しかも鮮やかに見せた
そしてその無茶のむこうに芝居の餡にあたる作者の本音をこめたということだと思う
笑いの質はいつもに変わらないG2プロデュースなのだが
今回はすこし思いの出し方が強い感じもするし
その反動として、
最終的に陰山・山内のラインを浮き立たせるためにややかすんだまわりは
ちょっともったいなかったかな?という気もする
父子に当てるスポットライトをもうちょっとソフトエッジにして
周りの脇役の方に当てても
物語のスキームが崩れることなく
さらに極上のエンターティメントになりえたような
気もするのだが・・・
まあ、そのあたりも含めて
G2芝居ということで・・・
評価:★★★★★★★★☆☆( +)