Stage

Stage/stage2

演目 劇団・プロデュース 場所 日時
ストリップ グリング THEATER TOPS 2004年10月21日ソワレ

 

作・演出 青木豪

 

出演

杉山文雄・鈴木歩己・萩原利映

峯岸信太郎・水戸ひねき・桜子・野中孝光

矢代朝子坪内有子

 

劇評

 

舞台にしつらえられたストリップ劇場の事務室

テレビモニターを通した導入部分を経て

最初にある種のトーンのようなものが提示される

ストリップ劇場で働く3人の男性が

舞台裏の日常という感じである種のトーンを作る

そこにリーダー格の男性の妹がからんで・・・・

このトーンの提示の仕方、役者の力具合が絶妙で

場末のストリップ劇場のもつ一種の貧しさというかルーズさのなかで

ストーリの根元の部分が提示されていく

この部分やトーンがしっかり演じられたことで

その後の舞台がすべてうまく回っていった感じがする

要は普段着の登場人物で舞台のトーンを作ることに成功したのだとおもう

 

その後

警察官が登場し、ベテランのストリッパーが芝居にからみ・・・

日常の時間の流れはまるで夜明けの海のように

少しずつ観客の視野をひろげ

やがて登場人物の日常の生活をみせる

そのなかで、最初の非日常はストリップ劇場従業員のひとりの

女装趣味が公になること

彼はためらいながらも自ら心の服を脱ぐ

 

次に従業員の妹が心の服を脱ぐ

まるでチラリズムのように彼女の心が露出する

とあるきっかけで

自らがその場の第三者として評価される方法が提示されて・・・

物語には非日常を受け入れるだけの素地が生まれる

 

従業員のひとりと昔同じ劇団で一緒だったストリッパーが現れると

舞台上は日常の流れから非日常の時間へと変わっていく

大阪のストリッパーはその従業員のまえでは

不必要にたくさんの服をきているようだ

二人の会話や、彼女の今の恋人との会話の中で

すこしずつ彼女の心の服がはずされていくとき

観客はまるでストリップ劇場のかぶりつきの観客のように

舞台に気持ちを吸い込まれていく

 

たとえば、ストリップの持つ一種の猥雑性とか

クローズなバックステージでありながら誰にでも開放されたような部分・・・

見せるものと隠すもの

これらの提示が手品のようにさりげなく行われる

縛りや女装といったものから人を恋いうる気持ち

さらには過去の事実や話されなかった思い

隠すようで次第に晒され

やがては身体の襞の内側まで見せるような

心のストリップの香板がつぎつぎと過ぎていく

しかもそれらの想いの交差が

とりたてて厳しい緊張感もなしに現出する

 

物語のトーンが一気にあがるのは

まだ、心の服をつけたままでいたがっている大阪のストリッパーと

心の服を脱いでしまったベテランストリッパーの会話のシーンから・・・

それはストリッパーが最初から裸体を晒さないのと同じこと

言葉の端々から大阪ストリッパーが心にまとっていた

衣装が見事に浮かび上がる

そして、彼女の恋人と劇団元主宰の位置関係のようなものの中で

彼女の心がゆっくりとヌードになっていく

 

この芝居がいまどきの他の芝居と趣が違うように感じるのは

メリハリのようなものがとても弱いことにあるのだと思う

役者達の演技にも意図的な感情のデフォルメがなく

ただ、物語の仕組みのなかでさまざまなものが浮かび上がってくる

役者が与えられた仕組みに忠実に時間をすすめていくと

そこには台詞で述べられている心の動きとまったく別の

なにかが浮かび上がってくるのだ

しかもそれらは要約されない

但し連鎖する

連鎖することにより

さらに一枚衣装が剥がされる

この作品における青木脚本の真骨頂は、

ただ物語を語ることによって見せたいものをだ見せるのではなく

この連鎖により心にまとっているものを剥がすところにあると感じる

 

やがて、元劇団主宰と大阪ストリッパーの別れのシーンで

鏡越しにフィジカルな彼女自身を見せる場面、

それまでの朴訥な言葉と彼女への距離感を忘れない男が

ふっと自らの鎧をはずして・・・

お互いの想いが満ちるように交差する

その、一見ありふれた、しかしはげしいこのシーンが

まるで柔らかい残像のように深く見るものにしみ込んで・・・

たぶん登場人物たちは

ふたたびそれなりに心に服をきて

毎日を過ごしていくに違いない

そのひと時を共有する観客には

柔らかく深い感情が訪れる

 

大阪からきたストリッパー役の桜子がよい

感情の動きが深く表現できていてしかもなめらかで・・・

ストリッパーと女優の両方についての存在感がある

ベテランストリッパー役の矢代朝子にも

激しい台詞の中にしっかりとした暖かさを

込めることができる幅のひろさを感じだ

鈴木歩己の演技は舞台のなかでは

やや段取りに走るような部分があったが

役柄に対しては十分及第点だったと思う

 

男優陣も悪くはない

ただ、ほんのすこし待てば、もっと広がりそうとか

もうすこし押し出しを強くすれば

もっとうまくいくのにと思うようなシーンが何箇所かあった

 

THEATER TOPSの階段をおりながら

妙なことに明太子の乗ったご飯を思い浮かべた

淡い味を強い味で食べて

でも残るのは淡い味・・・

そうはいっても明日も抵抗泣く食べられるし食べたくなるような・・・

良質な舞台とは案外そんな印象のものなのかもしれない

 

 

評価:★★★★★★★☆☆☆( +)

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