日時 劇団名 タイトル 会場

’06.2月11日 

阿佐ヶ谷スパイダース

桜飛沫

世田谷パブリックシアター


作・演出・出演 
長塚圭史
出演
橋本潤 水野美紀 猫背椿 伊達暁
長塚圭史 吉本菜穂子 中山祐一朗 菅野將機
富岡晃一郎 前田悟 横山一敏 高橋大介
津江健太 下村はるか
川原正嗣 大林勝
市川しんぺー

この文章にはいわゆるネタバレがあります。ご了承のうえお読み下さい

劇評


stage review 2006

評価

★★★★★★★★★☆

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物語がしっかりと語られた作品。シンプルでなおかつ骨太な物語があって、そこにたっぷりの肉がついている印象の作品だった。わかりやすいし観ていてあきないのだが、それゆえにあらも目立ちやすい物語の密度が要求されるタイプの作品だと思う。

役者の資質というよりは、役者の鍛えた技のようなものが問われるのではあるまいか・・・

今回の役者たちはそのニーズによく答えていたと思う。

 

うまいと思ったのはシンプルな物語にもいくつかのくびれのようなものを作ってしっかりとメリハリを持たせているところ。休憩を挟んで3時間半の長丁場であったが、3階席で見ていた私にもだれたところがひとつもなく、ある種の緊張感をちゃんと持ったまま物語が一ずつ進んでいく物語の動かし方がよいのだと思う。

元来、時代劇にはパターンのようなものが確立されていて、舞台上で新しいことをしようとしてもそのパターンからの距離が問われるのだとおもう。パターンを踏み外したり奇をてらった演出がある意味許されないような空間を自ら作り、勝負に勝った長塚はやはりただものではあるまい。

 

橋本の力量、(殺陣の気合のようなものがひしひし伝わってきた)。山内の真摯な演技から浮かんでくる生死感や人生観のようなものには無駄がなく、澄み切った印象さえ受ける。

水野美紀や峯村リエ、真木よう子、中山祐一郎、市川しんぺー、さらには猫背椿といった役者達の演技にも、なんというか腰がしっかりと入った感じがして見ているものをあきさせない。

彼らの一挙手一挙動すべてに無理のない力になっている感じがして、見ているものをそらさない。

 

舞台の最後のシーンについても、安易でありながらしっかりとした重さがあった。

山本と橋本が醸成した生き様の重さがひしひしと伝わってきた。

 

もちろん、人と異なる世界を構築したり何かを越えた世界を構築するのも才能だが、常道のなかで物語を濃縮したような世界をつくるのもまた同様にすごい才能であることを今回長塚の作・演出から見せ付けられた気がする

 

よいものを観たと思った